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ここのSSはだいたいそうですが、ちゅーもぎゅーもないです。
本編の間に描かれなかったことを妄想してる感じです。
それでは続きからどうぞ。
月の王国の頭脳とも言えるコンピュータールーム。
そこへ息を切らせながら誰かが飛び込んできた。
乱暴に開けられたドアが痛々しい音を立てる。
「マーキュリー、地球への総攻撃を進言したって」
息を荒くさせ、肩を怒らせて入ったきたのはマーズだ。
部屋の中心に立っていた人物はチラリと訪問者を一瞥するとすぐに目の前のモニターに目を向けなおす。
「本当よ」
月の王国に、季節はない。温度も湿度も常に活動にあった形でコントロールされている。
しかしマーキュリーの発した言葉はそんなものさえ吹き飛ばしてしまうほど冷え冷えとしていた。
「そんな……」
マーズがマーキュリーに詰め寄る。炎の戦士はそんなマーキュリーの態度ごと溶かす勢いだ。
それでもなお、マーキュリーの目はモニターに向けられたままだ。
「地球の中枢を叩くには、いまが好機だわ」
「……っまだ原因も何もわかっていないのに」
マーズはそう感情的に言い放ち、こちらを向こうともしないマーキュリーの肩を掴んだ。
その痛みに耐えかねてか、わずらわしいと思っているのかマーキュリーはマーズのほうをみつめる。
マーキュリーの瞳からは何の感情も感じられない。
その視線にマーズのほうがいたたまれない気持ちになる。
マーキュリーは居心地の悪そうなマーズをみつめながら、ゆっくりと唇を開いた。
「セーラークリスタルのない星」
声にはまったく抑揚はなく、それだけ言うと再び地球が大きく映し出されたモニターを見る。
マーズも釣られるようにモニターに視線を向ける。
「その結果が、これよ」
モニターの中では内乱が起こり、混沌としている地球の様子が映し出されている。
「それで十分よ」
マーキュリーはゆっくりマーズに視線を戻して言った。
先ほどの何の感情も浮かんでない表情ではなかった。
その表情にさすがのマーズも何の言葉もかけられず、釈然としがたい感情を抱えてマーキュリーをじっと見つめる。
マーキュリーは手元の書類に目を落としてさらに言葉を重ねる。
「たしかに地球より太陽に近い惑星では、もっとひどい被害が報告されているわ」
「だから!いまは地球をどうこうしてる場合じゃなくて、周辺惑星を助けるべきだわ!」
そう言ってさらにマーキュリーに詰め寄るマーズ。
こんなに近くにいるのに、マーキュリーの目はマーズを映していなかった。
荒廃した大地。切り立った大きな崖。
人々が空を仰ぎ、手を伸ばし、何かに縋るような視線を投げる。
(──プリンセス、プリンセスマーキュリー!)
(我らの嘆きの声が届くなら、どうかどうか……!)
フッとマーキュリーは目を閉じ、マーズから距離を置く。
「……たすける?」
再びマーズを見つめた瞳にはやはり何の感情もない。
目を細め、ついと口角が上がる。
「戦いの戦士が、わらわせるわね」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
太陽の黒点が変化してきたころ、地球がバタバタしてた時期の話。
別にマーズとマーキュリーが仲悪いわけではないです。
いざとなったら切り込み隊長になったり実際に人を動かすのはマーズの役割だと思うので。
救いたい、救えない、似てるような感情のぶつかりあいです。
眼の動きの描写が多いですが、
私の視線に関するボキャブラリーはそんなにない…バタン。
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