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気が付いたらレイちゃんの話ばかりです……。
続きからどうぞ。
「あ、レイちゃんだ!!」
学校帰り、家まであと少しという角を曲がると騒々しい声が飛び込んできた。
視線を上げ、声の主が想像と違わないことを確認して私は思わず眉間を押さえた。
――優雅な午後はそうそうに無くなったわね……
「ちょうどレイちゃんに漫画を借りたかったの!」
ぴょこんと音でもつきそうな仕種でこっちに駆け寄って来る。
走る動作にあわせてパタパタ動くツインテールはさながらご機嫌な犬の尻尾のようだ。
まったくなんでこの子がプリンセスなのかしら。
私の方がよっぽど気品があふれてるっていうのに。
「あっ」
「うぇっ!?」
あともう少しで私と合流するところでおてんばなプリンセスは思い切りつまずいた。
もう、その様子はマンガかアニメのようだ。
思わず駆け寄って、斜めにのめった体を支える。
――あぁもう!まったく手のやける子なんだから!
私だってむしろ誰かに支えてほしいわよ!
うさぎが体勢を整えている間にそんな思考とともにかつて焦がれた人が過ぎった。
完全に吹っ切るのにはまだ時間が必要だ。
頭をふって余計な想いを振り落とす。
「へへっレイちゃんありがと」
そう言ってへらっと笑ううさぎをみて肩の力が抜けていく。
怪我がなくてよかった、とかそんな言葉をかければいいのに。
そんなの他の仲間にならできるのに。
なのに。
「はぁ~まったぁく。うさぎはドジなんだから。これからが思いやられるわ!」
開いた口から出てくるのはそんな言葉ばかりだ。
いつもいつも、どうしてって思う間もなくするりと零れてしまう。
「う~!なによ~!ひとがせっかくお礼いってるのに!!そんなこと言っちゃうレイちゃんは将来きっといじわるおばあちゃんになっちゃうんだから!」
「なっだれがいじわるですって!?」
「レイちゃん!!」
「きー!言ったわねぇ!!」
結局お決まりの展開だ。
違うのはギャラリーがいるかいないかぐらいだろう。
こうなるとお互いが気が済むまで言い合い、手をだす。たとえ仲裁役がいてもいなくても。
出会った時から幾度となく繰り返しているそんな流れに不思議な安心感を感じている自分がいる。
……死んでも言ってやんないけど。
ひとしきり言い合ったあと、改めて家に向かおうと歩きだす。
少し遅れてうさぎがついてくる。
「ほら、うさぎ。マンガ読みたいんでしょ。早く来ないと置いてっちゃうわよ」
「えーんまってよ、レイちゃん」
タッと駆け出すうさぎ。その様子がさっきつまずいたビジョンと重なる。
「?どうしたのレイちゃん」
うさぎが寄って来る間、迂闊にもじろじろと顔を眺めていたらしい。
隣に並んだうさぎと目があった。
「……っなんでもないわよ。ほらそんなに急ぐとまたこけるわよ!」
ホントに先が思いやられるわ……。
うっかりそんな言葉まで漏らしてしまった。
また言い合いが始まるかと思ってうさぎをみる。
ところがうさぎはきょとんとした顔で見つめてくる。
「うーん」
「な、なによ」
予想外の反応に思わず構えてしまう。
「レイちゃんはこれからずっと居てくれるんだよね?」
「はぁ?」
「だったら、どんなに急いでもだいじょうぶっ」
根拠のないことを言って、きらきらした目で私をみる。
うさぎの言葉は唐突で、頭の中で理解はしていないけど。
言葉の中に含まれた確信のようなものだけは伝わってしまって。
顔にさぁっと血が上る感覚が私を現実に戻す。
「わ、わけわかんないこと言ってないで!さっさと行くわよ!私にだって予定はあるんだから!!」
言い放って、顔を見られないように身を翻し、階段をかけのぼる。
――あぁ、どうしたって、あの子にはかなわない
酸素の足りない頭にじわじわとそんな言葉が広がる。
後ろから情けないうさぎの声が聞こえてくる。
ダメよ。
今はまだ、捕まってあげない。
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無印くらい。
45話でレイちゃんは敵に向かう前に 「喧嘩ばかりだったけどたのしかったわ」って言うんですね。
レイちゃんとうさぎだけじゃなくて内部の言葉のやり取りは
木漏れ日のようにキラキラ輝いているんじゃないかなって思います。
そんな彼女たちを愛おしく思います。
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