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亜美ちゃんとレイちゃんのお話。
知り合いの方に見せたものを加筆したりなんやかんやしました。
あついです。ふたりが、じゃなくて外が。
続きからどうぞ!
「結構重かったわね」
火川神社、レイちゃんの家の玄関先で手に提げていた買い物袋を置いて一息つく。
まだ蝉が鳴くほどではないが、梅雨独特の湿度が汗を流させる。
今日の勉強会途中で飲み物やお菓子がなくなったので、急遽じゃんけんで買出し係を決めたのだった。
……お菓子やジュースがないと、どうしようもなく騒いでしまう人たちがいるから。
そして、こういうときにやたらじゃんけんが強い人たちだったりする。
何事にも全力投球よ!と勝ち誇ったように美奈子ちゃんは言ったけれど。
どうしてお勉強にはその情熱が向かないのかしら。
私たちって今年で中学三年生よね……。
はぁっと思わず遠い目をしてしまう。
奥のほうからきゃっきゃっと聞こえてくる声を耳が捉える。
──この買出し、どっちかっていうとうさぎちゃんや美奈子ちゃんの休憩の為のいいわけだったような……。
「それにしても暑いわねー」
そこまで考えてさらに遠い目をしそうになった私をレイちゃんの言葉が引き戻す。
レイちゃんは手で自分をあおぎながら、玄関から外を眺めている。
「そうかしら?」
湿度は相変わらずまとわりついてくるが、太陽の光から逃れられたことでだいぶ違うように感じる。
「……亜美ちゃんは涼しそうね。やっぱり水の星を守護に持っていると違うのかしら」
ペチ。
「えっ」
そう言ってレイちゃんは突然あおいでいた手を私の頬に当てた。
「あーやっぱり冷たくて気持ちいいわ。触り心地もいいし」
ぺちぺちと確かめるように頬を触る。
レイちゃんの動きに合わせるようにどくんどくんと心臓が暴れだすのが聞こえる。
さっきまでそうでもなかったのに、急に体があつくなってくる。
本当にすべすべね
ね、亜美ちゃん肌のお手入れってなにを使っているの?
レイちゃんは色々たずねてくるけど、その声は鼓膜で止まってしまって頭の中に染み込まない。
頭の回転は鈍っていくのに心臓の音はどんどん早まっていく。どうしよう、レイちゃんに聞こえてしまったら。
「……人の鼓動の回数ってね」
「はい?」
質問を無視して口を開いた私を レイちゃんが見つめてくる。
「……その…生まれてから死ぬまでの心臓の鼓動の回数って決まってるらしいの」
「…それが、どうかした?」
だから、
続けようと思った言葉をそっと飲み込む。
「…ううん。なんでもないわ」
「えぇ?」
出来るだけさとられないようにそっとレイちゃんの傍を離れる。
靴を脱ぎ、置いてあった買い物袋を持って振り返る。
「さ、早くうさぎちゃん達のところに行きましょう」
「そうね、どうせ亜美ちゃんがいないからってサボってたに違いないんだから」
そこまで言い切ったところで奥の部屋からキャハハハと大きな声が聞こえてくる。
レイちゃんが「ほらね」と言わんばかりの顔でこっちを見てくるから、思わず笑ってしまう。
「こらーうさぎっ。帰ったわよー!」
レイちゃんが大声で叫びながら奥の部屋へ歩いていく。
うさぎちゃんたちの声がぴたりと止んでますます笑いが抑えられなくなる。
幾分か静かになった胸を押さえ、さっきの言葉の続きを思い出す。
だから
──だから、あんまりドキドキさせないでね。
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いちいちハートがビートするんです。
投稿直後あとがきもどきを忘れていました。
百合のようで百合じゃないでもちょっと百合、くらいを目指していきたいです。
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